2013
12.01

知らぬのは私メだけかもしれません。
百均の子供コーナーで、このようなモノを見つけたのであります。
「発掘ゲーム」とかいうもの。
箱をひらくと石膏のピラミッドが現れたのであります。
説明書には、発掘棒と刷毛でピラミッドを掘れと示されておりました。

おもいのほか石膏は堅く、掘れと言われても、そんなに簡単にはいきませぬ。「この忙しいのに何なのだ、百円のくせに」と腹が立ってきましたが、買ってしまったのは私メでございます。

かれこれ15分も掘り続けた頃、奇妙なモノが出現。丁寧に発掘刷毛で石膏のカスをどかしましたら、不思議な文様が現れたではございませぬか。

未熟なお女性を調教している気分になるのでありました。丁寧にやさしく、しかし時には荒々しく、さらに発掘は続けられるのでございます。

おお、お前は本当は名器だったのか!
と始めての官能の悦びを知らしめた時の如き驚きが、そこにございました。

ミイラの棺が出てきたのでございます。

堅い石膏のために手は痺れておりますです。体温も上がり、Tシャツ一枚になっておるのでありました。
じつに無駄な、しかし止めることにはいかない作業なのでございます。

そして、とうとう石膏をすべて取り払い、この棺を取り出すことに成功。

中からミイラまで仕込まれているという凝りようであります。
「中国製のくせに…」
と呟きつつも、このアイディアの面白さに兜を脱いだ次第であります。

だからといって別の発掘ゲームを買おうとは思いはしませぬが。

この急速に情熱のようなものが引いていくのはどうしたことでありましょう。
発掘したとたんに虚しさばかりが残るのであります。

この苦労と徒労感は、まさしく濁情と同じでございますです。
あれほど肉と肉を合わせていたのに、いまはベットですこし離れて腰掛けぽかんと虚脱しているさままで同じでございます。