2013
12.03

ここは香川県観音寺市。
昨夜、茅ヶ崎を出て、辿り着いた町であります。
しずかなしずかな町でございます。

レンタル自転車を借りまして、「うまい!」といううどん屋を探し当てた喜びは、これでふらふら旅行をやっと終われるという安堵に近いものでありました。

入る前から、ここは美味いぞ、と確信を持てる店なのであります。

官能うどんというのは観音寺と官能の掛け言葉ってことは分かりますですよね。
切ない海は瀬戸内海。

店内は撮影することも申し訳ないくらいの乱雑さ。
老婆が四人ほど働いているのでありました。

そして出てきたのが、細麺のコレ。
素うどんなのに、キツネとかいろいろ入っておりますです。

その麺のしなやかにして、薄口の汁を巻き込こむのは手打ちならではの太さの大小によるものでありましょう。しかも若鮎が川面をたたくように麺の最後はのど元をうつのであります。

一杯で足りるはずがありましょうか。
「おかわりしていいでしょうか…」
と恐る恐る尋ねると老婆の一人が「遠慮せんとたんと食べてってつか」とOKが出ましたので、では、と、また素朴なヤツを注文したのでございます。

これが絶品。
腰がありつつも、どこまでも優しい麺が、甘めの濃い麺つゆに溶け込むのでございます。麺つゆにはおろしショウガの香り。
心の麗しいお女性にであったごときの感動でありました。

もはや遠慮することはできませぬ。
そのご追加に追加を加えまして、四杯の大うどんを平らげたのでありました。

もっとイケたのでありますが、わんこそばではありませぬから、この辺でやめなければいけませんでした。

まぁ、ざっとこのような感じでございます。
シメは天ぷらうどん。

が、うどんというものはどんな食っても満腹感が希薄なものでありますですね。
肉などのようなものを食いたいような気がしましたけれど、それは気のせいでありましょう。
夜の観音寺を満喫するためにも、これ以上の満腹はいけませぬ。

ふたたび駅に戻り、切ない海の夕日を打ち眺めるのでありました。

安宿をみつけて、こうして几帳面にブログをUPさせている次第であります。

が、足元からむずむずと混みあがってくる若さはどうしたものでありましょうか。
「はよ、おいで、優しゅうしてあげるきん」
と幻の声が聞こえるのでありますです。

「財田川の橋のたもとに黄色い家があらい。ほこはええ子がぎょうさんおらい」と安宿を紹介してくれたタクシーのおっさんの声もよみがえるのでありますです。

赤い小銭入れに千円札を詰め始める私メでありました。