2014
03.02

窓から見下ろしたら、不思議な物体がありました。
パープル色の奇妙な物体であります。

小雨が降り肌寒いのでありますが、「なんだべ」と確認せずにはおられない物体なのであります。

日常的でない異質なものに人は気になり、それを受け入れたくもなりますし、反対に排除したい本能も発生するようであります。

風船でありました。
ハート型のヤツ。

これは艶めいた喜び事の予兆ではあるまいかと反射的に思ったのは、私メが易者でなくても感じるはずであります。

どのような麗しいお女性が現れるのか、それともすでに現れているのかと、脳髄はフル回転いたすのでございました。

と、同時に、この風船が、庭に舞い降りたいきさつをも想像するのでございます。
ハート型からみて、おそらく女の子が親から買ってもらったもので、心ならずも握っていた手から離れたものでありましょう。
女の子や親は、空に上がって風に流される風船を、しばらく目で追っていたことでございましょう。
「だからちゃんと!」と叱られたのか、「まあいいさ」と慰められたのか、それは分かりませんが、この一家から何かが離れたのは確かでありましょう。そして風船は力尽きて我が庭先の木の枝に着地したわけでございます。

幸運は有限であるとするのが、運命学の基本でございます。
誰かが幸運を掴めば、誰かが不幸になるという、ひどく現実的な考え方をいたしますです。頑張れば、諦めなければ夢は叶うなどというまやかしは通用いたしませぬ。

庭に舞い降りたのが、幸運なのか不運なのかの判断は置いておくことにして、何らかの変化が起こるだろうと思わねばなりませぬ。

しばらく庭の一隅に放置することにいたしました。