2014
07.19
07.19
三茶、いわゆる三軒茶屋に来たのは久しぶりのことで、プロムナードが出来ていて、ひょっこりと、こんな場所に出てしまったのであります。
所用でまいりましたから、ぷらぶらする時間はございませぬ。
なれど、記憶にある三茶とは様変わりして、釣り堀もございませぬ。
十年ぶりではないかと、「ああ、そうだ」などと浦島太郎気分なのでございました。
「西友前でまってるから」
と約束したのは、するともう14年も過去のことかもしれませぬ。
「こんな部屋に住みたいの」
と雑誌の切り抜きには、キレイな部屋の写真が載っていて、「いつかな、住めるのは」と、そのお女性は、その切り抜きを、私メにひらひらと見せつけるのでありました。
それが常のように、246の十字路の地下道の入り口で手を振ってバイバイするのでございましたが、あれから、それほどの歳月が経過しているとは、とても思えぬのでございました。
想い出の場所に舞い降りると、当時のままの記憶がドットで押し寄せてきますです。
感情すら、当時に戻るのでございました。
彼女の部屋に向かうときも、この地下鉄の出口から。
そして茶沢通りをサミットまであるき、弁当や飲み物などを買うのでございました。
マボロシでございます。
確定された過去なのでございます。
にどと息を吹き返すことのない濁情の想い出でございます。
お女性の心とカラダの秘密を教えてくれ、何処と知れずに消えていったのでございました。
「お風呂、掃除して、オノさん掃除上手いからぁ」
マボロシの声が聞こえたような気がするのでありました。