2014
07.25

夏休みの浜辺なのでございます。

無線のヘリを飛ばそうと熱暑も忘れて操作しているのでありますが、なかなか思うように飛ばないのでありました。

ふたりの少年たちは大人になることすら忘れているようでございます。

やがて陰毛が生えそろい、恋などして一方は落ちこぼれ、一方はお勉強をして良い学校に入学し、忘れてしまった日々を懐かしむときがあるのでありましょうか。

あるのです。

私メがこの少年たちを眺めているように、彼らもまた五十年の後に無心に遊ぶ子供たちに自分の幼き日々を投射してため息を漏らすことでございましょう。

夏の太陽は海水を蒸発させるほど斜め上から降り注ぎ、浜辺を漂白させております。
現実ではない遠い呼び声が風にはこばれますが、振り向くこともいたしませぬ。

死んでしまった同級生のことをすこし思い出してみるのでありました。