2014
10.26

気の遠くなるほどの昔々に、あるお女性に真っ赤な珊瑚のリングを贈ったことを想い出しました。

なにせ貧乏者でしたから五万円した、そのリングを購入した時は眩暈を覚えたくらいです。

ふつう、お金がないという時は、手元にないだけで、通帳には多少なりともはあるものでございます。けれど、私メにはその手元のお金がすべてでしたのでした。

その後、ずいぶんしてから、台湾に同行した金持ちのオバサンが130万円もする珊瑚の指輪を購入したのには驚いたモノであります。ずいぶんしても私メの貧乏はかわらず、旅行費を祖母にいくばくか無心したほどでございましたから、130万円など、とてもとでもであります。
むろん現在も、そんな高価なモノは買えませぬ。
で、そのオバサンは加工を、その店に頼んだのでございます。
イヤな予感がいたしました。

予感は当たり、「オノさん、これ見て頂戴よ」と、帰りの空港で私メの腕をムンズとつかんで、指輪の箱を開いて見せたのでございます。
そこには、無残にも傷だらけの珊瑚が指輪の台にはめられていたのでありました。
今考えると、買った珊瑚とは別物だったのかもしれませぬ。

そんな悪い事をする奴は、こうだぞ!

本日、落した庭木の柚子の枝を束ねながら、這い出してきた虫さんを、茨に刺したのでございます。

ヘイトスピーチについて云々していますですが、言葉での暴力など、そろそろ生易しいところまで来ていることは心の中で誰しも感じていること。

友好的な姿勢を無理して示しているのは、「私どもは悪い事はしてませんですよ」という、有事の際の正義を作っておるのでありましょう。

あの指輪の原価は、いったいいかほどだったのか、いまだに出費の痛みを記憶している次第でございます。