2014
12.15

寒い北の町だと妄想し、ちかくにある定食屋にどーでもよい恰好でぷらりと入ったのであります。
いくどか、このブログでもUPした店であります。
中華丼と味噌ラーメンと餃子を食った店のブログをご記憶でしょうか。

手のひらをこすり合わせて暖を取りつつコップ酒にくちびるを近づけるのでした。
「餃子」
とぶっきらぼうに注文する快感。
女将も無言で、鍋に餃子をならべます。

エロ雑誌も、こういう場合には必要不可欠でございましょう。
白髪爺いとエロ雑誌のとりあわせは、しみじみした情感を醸し出すのかどうかは、それは個人個人の受け取り方でございましょうが、私メとしてはじつに美しいような気がいたすのであります。

と、そこで携帯電話の呼び出し音。
「憶えていますでしょうか」
お客様からの電話でありました。
「至急で鑑定していただきたいことが出来たのです」
夏にいらした激しい美人のお客様なのでございます。
「ダメでしょうか」
「いえ」
ちらりと女将の視線がうごいたことを、額のあたりに感じつつ、
「明後日ならば…」
スケジュールは、それを許しませんのに、私メは答えていたのでございます。

酔いが脳の中枢をおかしはじめていたようでございます。

神奈川名物のサンマーメン。とくにこの店のヤツは絶品でございます。

女将は、「仕事の電話?」といいたげな顔で、その麺を私メの前に音を立てぬよーに置くのでありました。

いまだなかった配慮でございます。
私メはあえてロメオのよーな目を作って見上げましたが、その目を女将はそらし、何ごともなかったことにいたそうとしていますです。

なので、こちらもグータラ爺に戻りまして、顔を傾げてラーメンを食い始めるのでございました。
窓ガラスは熱気で曇っております。