2015
02.19

父親が死んでからだいぶ経ちますが、毎月のように郷里のモリオカに足を運んでおります。

以前は夜には飲みに出かけましたけれど、それにも飽きて、では何をしているかと聞かれると、よく分かりませぬ。

ただモリオカは私メが油断してしまうスポットということだけは確かでございます。下痢のとき、我慢しなければいけないのに、うっかりアナルを緩めるような油断の仕方でございます。
でありますから、いつも気持ちを引き締めておるつもりなのですが。

本日も、東京駅から、あえて、しかめっ面を維持してまいりました。

新幹線のなかった若い頃には急行で九時間余りかかったものですが、現在は二時間とちょっと。
しかし、時間ではなく、距離が問題なのかもしれませぬ。
そうして駅に到着しますと、意識は18歳の私メに戻っているのでございます。

足をひきずって歩く老人が、小学校の同級生だと気づくことも少なくなく、であれば、あの雪の日に別れた白いセーターのお女性は、どーなってしまったのかとホラー小説に迷い込んだ気分になりますが、意識は、そこまでは深追いいたしませぬ。

幻想の国に舞い降りることで十分に満足しております。

そして、腐った木材の匂いのする自室で天井の板の模様を眺めるのでありました。
今夜はポケットウィスキーが恋人なのであります。