2015
06.02
06.02
官能占いのゲラをチェックしつつ、ふと空耳に顔をあげましたら、窓のそとには雨を告げる雲が忍び寄っていたのでございます。
空耳はかような内容でありました。
「わたしに対するのとは違って、仕事の関係者にはモミ手で応じるのね」
自分といたしましては、そういう意識はございませんが、お女性にそう見えてしまうのは何故だろうかと、思うこともたびたびでしたが、そこに男と女のすれ違いの原因があるような気もいたします。
ああ、その前に画像のメガネにたてかけている銀色のナイフのようなものは、頂き物のブック・マーク。栞でございます。
あまりの見事に反り具合に魅入ってしまうのでございます。
根元に真珠がぶら下がっていて、その真珠の言葉は「純粋・健康・長寿・富」とか。
男は「仕事」といえば何にでも通用する魔法の言葉と思われていますですが、たしかに男から仕事を取ってしまうと何も残らないかもです。
濁情に蕩けていても、終わると直後に仕事モードに切り戻るのであります。
裏切ろうとか、傷つけようなどとは決して思っていないのに、結果的にお女性から非難されるのは、そこに男と女の宿命的なギャップがあるからなのかもしれませぬ。
「お仕事頑張ってください」
と濁情の初期の頃の、これがお女性の常套句でありますけれど、すでに、その初期の頃から、お女性にとっての最大のライバルは男の仕事ではなかろうかと気づいているのかもしれませぬ。
やがて仕事もどーでも良くなり、かといってナニもふにゃける年寄りに近づきつつあるのかと、銀色に輝くブック・マークの見事なフォルムに目を奪われるのでありました。