11.30
「陣」と名付けたからではありません。
家相セミナー『霜月の陣』を終え、私メにすれば戦場のよーでありまして、戦いが済むと、体力も気力もへなへなと崩れたのでございます。
セミナー前に怪我をしては申し訳ないので、柚子の実を採るのも控えておりました。危険な場所にも近づかないように注意しておりました。
そういう節制もセミナーの後の疲労につながったのでございましょう。
「これはモツ鍋しかない!」と壊れかけの自転車を走らせ、材料を買ってまいったのでありました。
正解でございました。
体内に沁みこむように、ニラだのモツのエキスが、音を立てるが如く吸い込まれていったのでございます。
紅ショウガがなかったので、梅干しで代用。
これが絶妙でございました。
ーーそろそろ孤独さが分かってきたかい?ーー
ふと鷲尾明蘊師の声が頭に響きましたです。
教えるという立場は孤独との戦いであると、師は何度か言われておったのでありました。
生徒さんと親しくなってはいけないとも語っておりました。
ーーもしオノさんが講義をするときは、他の人の意見は聞き流すことですーーなんてお言葉も頂戴いたしました。
部屋の戸棚に、そういう事柄を書き溜めた手帳がございます。
易者百か条でございます。
鷲尾明蘊師だけでなく、いろいろな師が口を滑らせたことをちくいちメモしておったのが数えると百を超えておりますです。
ちと分かってきた気がいたしますです。
モツ料理こそ出しませんでしたが、講義の合間に下手なつまみなどをこしらえて食べていただいたこともございました。
百か条に照らせば、なんだかみんなムダな事だったよーにも思いますが、想い出としては良かったのでありましょう。
運命学的な世界の面白さを、ぞんぶんに広めることは私メの役目の一つかもしれません。
なんとそしられよーと、なんとバカにされよーと。
次の計画に着手することに考えを移し、もつ鍋をしみじみとつつくのでありました。