2016
03.17

月日は流れ去ります。
新しい今があらわれて、その今も少し前の今も、うんと昔の今も過去という二文字のお墓に入るのであります。

夜の電車の車窓を眺めながら、昨日の電話に思いを耽らせておりました。

十傳スクールを始める前に、相模原に住む、断易のお婆さまに会ったことはいつぞやのメールでいたしました。

そのお婆さまからの電話でありました。
「そろそろ、ご自分の断易を大切にして流派を守る頃じゃないかしら」
と申され、「それは大事なことなのよ」
すでに90歳を超えているお婆さまとは思えぬほど矍鑠としたお声でありました。

鷲尾道場での大先輩でして、そのころ調布に住んでした私メに京王線で途中まで、その日の断易の授業のポイントを惜しみなく教えてくださったお婆さまでありました。
いちじは千葉県で株占の大家とあがめられたお方なのであります。

「オノさん流を立ち上げてもおかしくはないわ」
と持ち上げてくれ、そのあとに「やはり、それだとしても流派を守ることは大事なことなのよ」
と言うのでありました。

約二時間の電車でしたが、お婆どのの言わんとすることが、ひしひしと感じられ、「それは自分には適していないであろう」なんて独り言をつぶやいては、隣に座っている美女から怪訝そうな視線をおくられるのでございました。

人生の大切な曲がり角には、かならずある人物のメッセージがあるものであります。多くは、そのことをすごく後になってから気づくのでございます。
が、私メには分かるのであります。お婆さまが電話をくださったことは、そういう時期が到来しているのだということを。

やがて四月。新たな十傳スクールのスタートです。
テキストも充実しつつあり、気力も十分。占いの知識を幸運を掴み取るヒントになるような講義にせねばなりませぬ。

「流派を守りなさい」
お婆さまの声はリフレーンするのでございます。