10.30
長野ではございませんです。
モリオカにも安曇野という部落がございまして、その近くに蕎麦屋がございます。
滝沢にも支店がありますが、この、小岩井に向かう46号線沿いの店が美味しいよーであります。
数年前に、食い過ぎまして、「蕎麦はどーもな」と遠ざかっておりましたが、ちとその気になりました。
もっと美味い店は、あるにはあるのですが、この店が私メには手ごろ感があるのであります。
イイところは大量に出てくるところでしょうか。
いやいや…。
こういうふうに、江戸では許されぬ邪道の悦楽を許容してくれるからでありましょうか。
蕎麦には南蛮。
それも直接にふりかけるのが私メの食い方なのであります。
むろん、ワサビもタレにはいれずに、始めから蕎麦にまぶすのでございます。
モリオカでは、ゴンパチと申しまして、いわゆる紅葉おろしを蕎麦の薬味にいたしますです。
「ううん、僕は薬味はねほが好き」
なんてガキは、この店にはおりませぬ。
何がキライかといって、蕎麦通のガキほど嫌なモノはございませぬ。とくにオヤジ連れのガキ。
蕎麦のすすり方を親から学んだのか、小学生のクセに、タレに八分くらい蕎麦をくぐらせて、ゾッゾッと口に運ぶガキ、それに満足げな親父を見ていると、つかつかと近寄って、頭からウンコをぶっかけたくなる衝動を覚えるのであります
が、この店にくる客はドン百姓たちばかりですから、もっとも美味い邪道を自然に真似してくれるのでありました。
そして、めちょめちょと小汚くすすのであります。
天婦羅蕎麦の二枚重ねで千円ちょっと。
モリオカは、ジャジャ麺とか、冷麺など、入植の朝鮮人がもたらした、これこそ邪道の麺がもてはやされておりますが、じつは蕎麦の宝庫。
さまざまに蕎麦があるのであります。
「あんや、そったにナンバンば振りかけるから、秋だずのに暑っつがるんだ」
と老母。でありました。