2017
04.16

十傳スクールが始まるまで、神田の街をブラついていたのであります。

神田は思い出の街であります。20代から40代まで、神田周辺に縁がございました。
時代の流れとともに、古い建物は壊され、新しい建物に生まれ変わり、当時とはまったく違う街に変貌しているのでありました。

そんな神田に、この喫茶店がまだ残っていたことは驚きであります。
いくどか珈琲を味わいに入ったことがございます。

が、その記憶がリアルではないのでございます。
誰と一緒だったかも定かではありませぬ。

「赤レンガ」というレタリング文字だけが懐かしく、ほかの一切は記憶から消されているのでありました。
店内をのぞきましたけれど、見知らぬ光景でありました。

ふつう、懐かしい光景を目にすると、記憶がとりとめもなく溢れ出すはずなのに、頭脳は停止したまま。

もしや、何かイヤな出来事があり、記憶を封じているのかもしれませぬ。

思考をさぐるのをやめた方がイイと、心のどこかで語るモノがおります。
この場を立ち去れと。

四柱推命卒論科の講義をしながら、しばしば、喫茶店の文字が脳裏で点滅していたのでございます。
まるで髪の毛でお女性の顔がかくれて見えないよーなもどかしさのなか、時が流れるのでございました。