2017
04.27
04.27
せっくすしろ、から一両編成の電車に乗り込んだのでございます。
ぼやっとしていたのでタクシーで。
「はやく、はや釧路」ととびのり、向かうところは網走。
三時間とすこしの原野行でございます。
苦痛なほど退屈でして、たぶん、どこかの駅でしばらく停車し、駅弁などを買えるだろうという予感は外れ、いやたとえ停車したとしても、多くは無人駅なのでありました。
便所がついているだけ有難いと考えを改めなければなりませぬ。
「こんなところにいてもイイのだろうか」
という思いが胸をかすめますけれど、来てしまったわけだから、考えても仕方のないことは考えないことにしたのであります。
アホ面を春の雪山にあてるのみ。
「…彼女はどーしているだろーか」
21歳の半年間の遠距離恋愛を想い出すことにいたしました。
この付近の出身で、じつは私メもいちど釧路に来たことがあるのであります。彼女をたずねて。
生きていればことし還暦。
しゅー、と呼んでおりました。
摩周のしゅー。
その名前に惹かれていたのかもしれませんでした。今となっては当時の正確な気持ちは分かりませぬ。
やがて車両は本格的に原生林の中を分け入り、両側の枯れ木の根元にほころんだ、フキノトウを追うように網走へとすすむのでございました。
とおくに臨むのは
「雄阿寒岳かなぁ」と向かいの老カップルが感嘆しておりましたが、地図をもたない私メは、それが本当に雄阿寒岳なのかどうかは分かりませぬ。
本当かどうかなどじつは、どーでもイイことなのかもしれませぬ。
確実なことは、なにもかも時だけが過ぎていくという現実なのであります。