2017
05.25

18時30分にスタートするパーチーに、事務所を出たのは17時55分。

タクシーをつかまえるのでありました。

「天皇、安倍が嫌いだから退位するんですよね」
いきなり個人タクシーの運ちゃん。
バックミラーで目が合いました。

私メとだいたい同じくらいの年齢とみました。
「日本のロックなんて偽物ですよね」
とつづけざま。

「だらしないですよ、日本は」とも。
「チョーセンは日本のバカが考えているより、ずっと金持ってますよ」などとも。「何発もミサイル、ヤルでしょーが」

他の乗客にも同じことを言うのでありましょうか。
興奮してきたのか、運転が荒くなってまいります。
「だいたい音楽に国境がないなどといって、他国のジャスだのをぶん取って猿真似してますからね、日本は。よその国に失礼ですよ、ありゃ、ハワイアンとか踊っちゃって、あれで平気なんでしょーかね」
「昔はね、20年くらい前は下手な歌手は、あの建物でコンサートなんて出来なかったんだ。いまはジャニーズですよ、ジャニーズ。AKBは許しますけどね」
「日本は相撲でイイんですよ。しかしねぇ、升席をもっと広くしてもらわないとね、体格がデカくなってるんだから、平均165センチの時代じゃないんだから」

運ちゃんは喋りまくるのでありました。

気づくと、新橋のコンラッドに着いておりました。

どの占い師とも会話せず、バカに美味い料理をむしゃむしゃ喰い、ワインを七杯飲み、タバコを吸い、クソをたれて、とっとと帰るのでありました。

占い師の会話も、パーチーの内容も、私の耳にはただの音としか聞こえず、ずいぶんと偽オネェの易者が増えたものだと感心し、幾人かの奴からもらった名刺を破り捨て、ふたたびタクシーに乗っているのでありました。
「東京駅まで…」

「バカ者ども、許さん!」
と、つぶやいて、ひとりニヤリといたしました。

ミラー越しに運ちゃんが私メに視線をくれましたけれど、今度のヤツは、なにも言わないのでした。