2017
07.07
07.07
私メは「ついにこの時が来たのである」と、ばかりに扉から南国の即席麺を取り出したのであります。
生涯、けっして足を踏み入れることはないだろう赤道の国のラーメン。
いつ食べようかと、その時を虎視眈々と狙っていたのでありますが、天窓の青空を仰いだ瞬間に、心をきめたのでございますです。
鍋に水を張り沸騰させ、Aの袋からは真っ赤なタレ。エビの出汁と辛そうな匂いのヤツを絞り出すのであります。
Bの袋には、白いお女性の肌のようなココナツミルクの粉末。
麺をとぷんと入れて、あとは7分間。
7分の間に、人はいろいろなことが出来るのであります。
まずはウンコ。そして宅配便の応対。掃除。洗濯物の取り込み。
簡単なエロも愉しめましょう。
おお、これこれ。
オレンジ色の辛子が地獄なら、白いココナツミルクは極楽でありましょう。
海岸でラーメンをすするように立膝をついたおお下品なかっこうが美味さを引き立てますです。顎の先から汗の滴がズタズタと流れ落ちるのであります。
生卵にじかに唇をおしつけました。
ああ、というため息が聞こえたかどうか。
空調の風量をパワフルに切り替えましたら、南の国のお庭で咲くブーゲンビリアの赤い色が、手のひらにうつって見えたような気がいたしましたです。