2017
10.23

よくぞ、嵐の網の目を潜り抜けるように、交通機関を乗り継ぎ、ア放浪の旅に出たのであります。

茅ヶ崎駅では台風の影響で、一時間に二本の間引き運転。が、次の辻堂駅で前のお女性が降り、座席に着いたとき、

「ツイているぞ、これは」
直感したのでありました。

人相はこういう時に役に立ちますです。
どんな満員電車でも、誰が降りるかを見知ることが出来るからであります。

で、ひとまず東京駅に。
停電していた東海道新幹線が到着し、げっそりと疲れた不幸な乗客の面々を横目に、PCを開き、「では方位は北東に」と進路をだいたいに決めまして、
すると、トントン拍子に進み始めたのであります。

そして、八時間後、
「さびしい~」
最果ての街に降り立ったのでありました。

腹ごしらえであります。
炉端焼き。

セットで頼みましたら、二人分っぽいのが出てまいりました。

「消化不良になりそーだ」
数時間後に、それは現実になったのでありましたが、「熱燗が薬になるだろう」と調子のいいことを考えるのでありました。

旅行資金はたっぷり。
が、悪い場所にはなぜか足を運ぶ気にならないのは、駅で美女が皆無である街だという潜在心理が働いていたのかもしれませぬ。

毒を喰らわば骨までも。

骨まで焼いて食いまして、味噌汁を納めに「お勘定を」でございます。

いま、ほろ酔いで、消化不良のヤツを、水をがぶ飲みして、放出しましたので、とても快い解放感にのびのびしているであります。

「彼女はどーしているかなぁ」
頭を振って、携帯をバッグにしまい、
「スクールのテキストのチェックをしよう」
心を定めるのでございました。

それにしても、ずいぶん遠くに来たものであります。