2018
02.02

かつてはタバコ屋だった店も、時代の流れとともに廃業し、そして取り壊されるよーになったのであります。

たまにオヤジが路上で煙草をふかしている姿を見かけましたが、最近はだれもおりませぬ。

おそらくどこぞへ引っ越したのでありましょう。

古いものは廃れていくのは世の習い。
百年前の人がいたら、異国にワープした如く道に迷うにちがいございません。
それでも、いままであったものが立ち消えていくことは、まことに淋しゅうございます。
そーして、だんだんと町は変化していくのでございましょう。

硝子戸の中に、ビニールのボールがふたつ転がっておりました。
捨てられた子猫のよーでございます。

ここで生存していた証しが、まだしぼまぬビニールのボールなのでございます。

しやわせとは何なのでございましょうか。しやわせと、ふしやわせを隔てているモノは何なのでございましょう。
しやわせとは現在や未来にはないもので、過去にしか存在しないマボロシなのかもしれませぬ。

煙草屋の煙草のけむりと、残されたボール。
硝子戸のなかも寒ければ、硝子戸の外も凍える寒さでございます。

音楽が聞こえずに良かったと思うのでございました。
笑い声が聞こえず良かったです。