2018
03.25

白鳥が北へ帰還しだしたのであります。

池が騒がしかったので、そろそろかと思っておりましたが、朝の雨があがり、日差しが出たと同時に、いっせいに白鳥が帰還し始めたのでありました。

別れの声をあげながら。

「これだったかもね」
モリオカでの、ここ数日にまとまって発生している偶然の理由のヒントをばらまかれた気持ちでありました。ばらばらな偶然が語るモノ。
不倫相手との再会、秘伝ノートの発見、叔父の墓所の発見、旧友の老いの姿…。

運勢の変化とでもいうのでしょうか。

そーいう時に、きまって予兆があり、今回は、過去の接点の扉がひらいたのかもしれませんです。

占いとは、普通は見捨てるよーなケースを拾い集め、ゴミ箱を開くごとき発掘に似ておりますです。

私メも白鳥のよーな奇声をあげながら、帰るべきところに帰らなければならないのでありましょう。

気力も体力も充実しております。
痛風もほとんど回復しておりますです。

空に白鳥がはばたくなら、地にはバッケがほころんでおります。

昔のお女性が家庭に戻り、死者が墓のなかで眠り、旧友が退職後の生活に満足し、それぞれが得た着地点を、この目で確認いたしましたけれど、私メはまだ帰るべき何処かを見つけられずにいるのでございますです。

濁情の渦を楽しめるのか、会得した知識を放出し続けなければならないのか、あるいは、笑顔を忘れた彷徨い人の道しるべとなるのか、運命のまだ決着がついていないよーに感じるのでございます。
その見返りとして健康と自由といくばくかのお金を、運命は私メに与えているのではないかとも思うのでございますです。

が、鷲尾先生が「オノさんには、まだまだ時間があるから」とノートを手渡してくだっさった時に仰っていた「時間」の残りが、そんなにふんだんではないことも確かであります。

新聞を破り捨て、TVの元線を引き抜き、豚丼を胃袋に流し込んで、老いた翼を広げよ―かとカラ元気を出すのでありました。

今回のモリオカは魂の休暇日でありました。