2018
12.13
12.13
山茶花は、椿と違って花びらがバラバラにならないで楽なのであります。
椿が、不吉だといわれるのは、地面に血が飛び散ったみたいだからでありましょうか。
「あっ、血が…!」
「椿だよ、ばっかだなぁ」
などと160年ほどの昔のカップルは甘えたのでありましょーか。
が、いまは12月。山茶花なのであります。
奇門遁甲の造作に使用する乾燥花に最適でありますから、暇を見つけては採取しなければなりません。
ショップサイトのNONNAで扱っているパワボのマグネットと乾燥花を作っているのは私メでして、
「そろそろ追加のヤツを」
と担当者にせかされるのであります。
マグネットは漆を使用します。
困るのは乾燥花のストックが切れてしまうこと。
ですから、花の季節ともなると、私メの目付は、万引き少年の如く、瞳をすぼませ、タチの悪い表情に一変するのだと思いますです。
蕾だとて容赦はないのであります。
「せめて咲かせてから摘み取って…」
などの甘えは通用しないのであります。
「ねぇちゃん、諦めな」
女衒のように肩を揺すりながら近づき、「いい色をしてるじゃねぇか」
プツンと摘み取る快感。
「やめろ!」
そこには、蕾のオヤジがいて、私メの手下に両腕を左右から抑えられて喚いているのであります。武田鉄矢似であります。その親父のみぞおちを蹴上げるのでありました
「つぼみちゃーん!」
悲鳴を上げているのは、好き合っている青年。亀梨そっくりであります。
つかつかと近寄り、おもいっきり横っ面を下駄で殴るのでありました。
手を止めたら、一人の女の子が小首をかしげ、私メを不思議そうに眺めておりました。その横で、母親らしきお女性が憐れむような目つき。
あわてて防犯カメラの有無を確認するのでありました。