2019
01.03

ややや、事務所の段ボールの底から、かようなモノが出てきたのであります。

銀座ジプシー一党に追われ、
「こうなったら鬼になるぞ!」
と、破れかぶれになり、ジプシーの息のかかった占い師や、イベントで知り合った別のグループの占い師や、あるいは飲み屋のネェさん占い師の画像をコラージュしまして、各所にバラまいたチラシなのでございます。

ジプシーの死まで一年を切っておった頃であります。

ムッシュー星座協会。
所属者はゼロ。
丸裸でありました。
ただイベントの仕事が欲しくてジタバタして作成したものでありますが、これが何と功を奏したのでありました。
ハウステンボスの10日間のイベントへとつながっていきましたです。

「ほう、なかなかの顔ぶれですね」
とイベント会社のボス。
「まだまだ集まりますよ」
と私メ。
ジプシー事務所でも「いつかみんなでハウステンボスに行こう」と願いつつ、どうしても取れなかったイベントが、私メに転がり込んできたのであります。
ハッタリでもなんでも良いのです。
「若いのから重鎮まで、そして西洋占星術から東洋占術まで揃えられますよ」

総勢10人の易者を揃え、出鱈目っぽいプロフィールを作成しましたです。

が、運とは恐ろしいものでして、出版のお話も舞い込んできまして、
「嘘だろう…」
とほっぺたをつねったものでありました。

とにかく、1993年12月31日に占い師が羽田に集まり、長崎へと離陸したのでございます。
そして、またまた運とは仰天するものでして、
「昨日、ジプシー先生が亡くなったのご存知?」
と、老美人とひそかに呼んでいた、ジプシー一党から引っこ抜いた占い師が教えてくれたのでした。

老兵は去り、私メに運が来たな、と実感いたしました。

地上一万メートルのトイレの中で、私メは胃袋がせせりでるほどの喜びと虚しさと解放感に慟哭したことを、つい昨日のように記憶しておりますです。

あれから26年。
みんな何処へ行ったのでしょー。

そして、私メもいま去り行くべき老兵となっているのでございます。