2019
01.05

段ボールから、ぞくぞくと過子さんが現れるのでありました。
「ムッシュー通信」のバックナンバーのすべてが出てきたのであります。

アルバイト先のダイナブックを使って打ち込み、早朝出勤して、そこのプリンターで出力をした、むかしむかしの思い出がよみがえりましたです。

執筆陣は、小野十傳、枯野十三郎、バンビマキ、井上象山などなど、それから、リリアン・ダニエル女史…。
私メ以外は、すべて架空の人たちであることは、前にも記したとおりであります。

懐かしいお女性に再開したよーな、愛憎をこえた気持ちにさせられるのでありました。
「どーしたんだい、いまごろになって顔を出すなんて、ずいぶん探したんだぜ」
なんて拗ねたい気持ちもございます。
「おまえだって、そーだと顔に書いてるよ。女の意地かな?」

A3用紙2枚で、中折して、8ページ。作成に2日はかかったことでありました。

これが、唯一知り合いのライターさんが読み、
「リリアン・ダニエルって、変な名前だね」
電話がございましたのは3月。
「どこにいる人?」
「たしかニューヨーク」

そして5月に、「KKの編集の人に見せたらさ、面白いから会わせろって」
連休後に新宿の料理屋で会ったのでありました。

この時ほど、酒が強い自分を褒めたいことはありませんでしたです。

若いのに彼が編集長だと知りましたので、遠回しに、占いの世界のなかから魅力的な話題をながしては、
「まずまず」
とお酒をお注ぎするのでありました。

「ムッシュー星座協会には、何人の登録者がいるんですか?」
「20人ほどかな」

すでにお銚子は10本。

他にも女占い師がいましたが、完全にリタイア。ライターさんも真っ赤か。

「本を出しましょう!」
彼はいきなり気勢を上げました。

「まずまず」とさらにお酒を注ぎ足しつつ「ここはお酒の場ですから…」
必要以上に食いついてはいけませぬ。
お尻はむずむずしていたのですが。

釣りをするとき、小魚はすぐに食いつくものです。が、鯉などの大物は、浮きを揺らすだけの微妙な反応を示しますです。酔っていましたのでしょう。自分を大魚と見せたいわけであります。
しかし、心は、
「離してなるものか!」
ソレでありました。

帰りは、財布に3000円しかなく、電車は大船までの終電。タクシーで3000円分だけ乗り、徒歩で帰ったのでありました。

本が出ると最終的に決まった時、それはムッシュー通信の役目が終わった時でした。

過子さんよ、たまには、こうして交わるのも、楽しい夢をみている気分にさせられますです。

こうして再会が重なるということは、ひとつの区切りで、次のステージに移る暗示かもしれないと、なんとなく感じるのでありました。