2019
04.23

すこし足を伸ばせば、このよーな廃墟が点在している町で、キムラ満夫は風に吹かれているのであります。

お女性のおヌードが似合う廃墟であります。
枯野は川向こうまで続き、いったい誰が、ここにいて、いまはどーしているのやら。

老婆に若かりし頃の美形を探す行為と似ておりますです。

人口が三万人にまで過疎してしまっただけに、気取った料理屋は皆無。
山菜の煮つけと白米の朝食が、バカに美味く感じるのは、それだけ現在の満夫が、しやわせではないことを物語るものでありましょーか。

春とはとても思えませぬ。
晩秋の殺風景が、心を和ませるのであります。

たまにフジテックとか横文字のついた軽が、破れかぶれの暴走で、私メのクルマを追い抜いていくのは、やはり左遷された己が身を捨ててしまいたい現われでありましょー。
「死にてー!」
と、車体を震わせながら、視界からたちまち消えていくのであります。
「月、20万円か、そこいらの給料のために、なんで俺はこーなったのか。あの頃の夢や希望はどーなったのだ!」

今宵は、昨夜見つけた小料理屋?で、彼らの愚痴の餌食になりそうな予感がいたしますです。