2019
05.09

桜の花が満開に咲き誇っておりましたのに、葉桜になったとたんに、眺める人はおりませぬ。

魅力の失せた者を連想させ、考えさせられるのであります。

葉桜も、桜の成長過程でありますから、いつまでも花を咲かせてばかりもいられませぬ。
また、桜は、人々にみられたくて咲くわけでもなく、
「だからどーだっていうんだよ」
堂々たるものでございます。

パフォーマンス占い師だったころ、若く美人な占い師がおりました。女優志望でして、占い師から女優へアプローチしようという試みだったよーであります。
小さな芸能プロに所属し、
「オノさん、その売り出し方は下手だよ」
なんて指導されましてございます。

私メは俳優になろうなどと考えてもおりませんでしたので、彼女の積極性にはとても驚きましたです。
「はぁ、こういうふーに売り込まないといけないのだなぁ」
と感心ばかりしており、
「すごい、すごい、頑張ってください!」
ただ、ただ拍手を送るばかりでありました。
そのうちに、テレビなどでよく顔が出たり、週刊誌のグラビアにも裸体で紹介されました。

が、運命は簡単には女優の道を進ませませぬ。
5年たち、10年たち、20年、30年が経過いたしました。

葉桜さんのまま、枯れておるのでありました。

「息子にさぁ」
30年後の原宿の飲み屋で、信じられないほどの巨体になったわき腹を押さえつつ、
「ケリ入れられてさぁ」と笑い、「肋骨にヒビが入ってんだよね」
彼女は、自分の夢が叶わないと知るや、ステージママとなり、息子をタレントにしようと必死でした。が、その息子は…。

パフォーマンス占い師のあと、私メは占い師を集めてイベントやTVの元締めを2年間ほどしたことがございます。そのおり、彼女は息子をプロデューサーにさかんに売り込んでおったのを思い出しましたです。

みんな、桜の季節を迎えます。悲しいのは、すでに花が散っているのに、いまだ桜が咲いていると信じているお方かもしれませぬ。
もはや枯葉も少なくなった私メですが、願わくば十傳スクールからスター占い師が誕生してくれないものかと、こう期待しておるのであります。