2019
09.30

朝の公園の腰掛に、缶ビールが二本。

何があったのでありましょうか。

昨夜、誰かがこの場所で、ビールを楽しんだことは事実でありましょう。
飲んだのは一人なのか。一人で二本飲んだのか。

それとも、2人で、何か語らいながら飲んだのか。
足元には煙草の吸殻が、やはり二本。
二つの靴跡が残っております。

すると、2人で、一人はタバコを吸いながら、一人は相手の煙草の火を眺めながら缶ビールを傾けたことになるのであります。

では、その2人は、男同士なのか。お女性同士なのか、それとも男とお女性なのか。

そして、いったいどのようなことを語ったのか。

そもそも年齢は。

そのあと、何処へ向かったのだろうか。

私メにとっては想像を刺激する現場なのであります。

缶ビールには2つとも口紅のあとがございません。

ここに置きっぱなしであるということは、環境の美については、あまり意識しない2人なのでありましょう。

別に探偵になったつもりではないのでありますが、断易などは、日ごろの観察と推理を求められるわけでして、自然に、このようなどーでもいいことを考えてしまう習性が付いてしまっているのであります。

「何かあった?」
と、聞いたりして「しまった…」と後悔することも多々ございます。

「…どーして?」
相手を怯えさせるからであります。

相手のささいな変化を見てしまうのも、習性のなせるわざなのか。

「めずらしくシュワシュワワインを注文しないから」

「もう秋でしょう、それに別なものもたまにはイイかなって…」
狼狽の目の色が走り、昨日と同じスカートを隠すような素振り。そのスカートはすこしくたびれております。みれば、わきに紙袋。
昨夜、誰かと飲んだのか、と詰めれば、面倒なことになるので、そこで話題を切り替えたりいたしますです。
言っておきますが、嫉妬とか、そういう感情ではなくてであります。

会話の矛盾などからも
「?」
と商売柄とはいえ、敏感になってしまうのは職業病かもしれませんです。
イヤになることがございますです。