10.22
東北道をモリオカから北に一時間ほどいきますと、こんな鉱山跡に着くのでございます。
心霊スポットとか言われておりますが、心霊に対して関心のない私メなので、別に心霊などどーでもイイのであります。
それよりも維新の際に、長州の井上馨にだまし取られた、南部藩の豪商、村井茂兵衛の怨念が眠っておるかとおもうと、
「コロセ、コロセ!」
と入り口に立った時から、コーフンしているのでありました。
近くの資料館には、そーいうことの記載はなく、井上や三菱を絶賛することばかりで、
「情けなや…」
悔し涙をおとす演技をするのですが、誰も見ておりません。
約二キロ弱の坑道なのでございます。
背後になにやら気配を感じましたが、この鉱山は、かつては金山で、奈良の大仏や、平泉の金色堂の金に使われたと知るに及び、人間の欲によって、山を穴だらけにした、その執念に恐ろしさを覚えるのでございました。
こんな山奥で金を採掘し、それをどーやって京都に運んだかまでは記されておりませぬ。
以前は、よそ者を軽蔑して嫌う京都の気高き気風も、中国人の落とすお金に目がくらみ、完全に堕落した街になっているわけでして、人間の欲は、なにごとも可能にしてしまうパワーを持っているのでございますです。
朝鮮人に軽蔑され、「無礼者!」などと息巻いたくらいにして、けれど、米に対しては「無礼者!」などとは決して言えませんから、ますます朝鮮人に舐められる始末。
だんだんと感情的になっているのは、鉱山内で嬲り殺されただろう抗夫たちの怨念が憑りついたからでありましょーか。
大規模な坑道のなかで激しい孤独感を味わうのでございます。
突如として現れる人形は、さらに恐怖をあおるばかり。
おなじ人形でも、おはりお女性のほうが、心を癒してくれるものであります。
抗夫どもも、
「女だ、女だ!」と満面笑みとなったことでありましょう。
足がかくかくなるくらい歩いて歩きましたです。
心霊スポットが聞いて呆れましたが、やはり背後に人の気配を覚えるのでありました。
振り向くと、地べたを這うよーに老母が付いていたのでございますです。