2020
04.23

ゆいいつ失敗したことは、別宅にシャワールームを設置しなかったことでございました。

母屋を作っていますからお風呂が使えませんです。
老母が住んでいるアパートは脱衣室がございませんから、私メの裸体をさらすことになり、老母にとっては息子の60年以上ぶりのおヌードを見ることになりまして、それは絶対に避けたいところでありました。

アパートに空き部屋があれば、そこのシャワーを使えるだろうと読んでいたのでしたが、あいにく空き部屋はなく、それは嬉しい誤算でございますが、指折り数えると、すでに三日もに入浴しておらず、なにやら臭いを自覚するのでございました。

それ以上に、ツカツカと頭皮が痒いのであります。

ふぐりも汗ばんでヌタヌタしておりますです。
私メの悪癖のひとつに、ソコをちょす習慣がございます。
気が付くとしばしば指でころがしていることがございます。
「やめて」
と言われましても、チョスことで心がかぎりなく安らぐのみならず、アイディアも湧きますから止めることはできませぬ。
しかし、指までヌタヌタすることに、ちと困りましたです。

洗面台にまたがって、ソコをお湯につけて洗うことも選択の一つに上がりましたが、そういう年齢でもないと戒めたのでありました。

結局、
「温泉だ!」

愛車を、まだ雪が横殴りに吹きすさぶ、山奥の温泉地に走らせるのでありました。

途中から道はシャーベット状。凍結もしておりましたが、選びに選んだ、『雪路に絶対的に強い車』だけのことはあります。悪路をものともせず、むしろ水を得た魚のごとくの快走。

温泉は営業しておりました。
私メだけがお客。
宿の幼い娘が赤いスキーであそんでいるだけ。

ゆっくりと垢をおとしたというしだいでございます。

老母も伴いましたが、
「すべって転んだらヤンたおん」
ということで、刻々と移り変わる窓外の景色を打ち眺めていたそーであります。

その頃、私メは温泉水に中国肺炎のウィルスが溶け込むってこともアリだよな、と湯上りにシャワーをし、体が冷えてしまいまして、またお湯に身を沈めたりしておったのでございます。

帰り道の、道の駅のトイレでふぐりをチョシましたら、さらさらで快適なのでございました。