2020
06.25

疫病前からはじまったおうちの建築は、やっと足場が外され、オショスイ全貌を現したのであります。

なんだか威張っている感じなのでございます。
「じゃじゃじゃじゃ…」
とはモリオカの感嘆語でございます。

オショシイときも大変なときも嬉しいときも
「じゃじゃじゃじゃ…」
と照れがはいった言葉で濁すのでございます。

子供たちが、
「悪魔の館だ」
声を揃えて行きかったりいたしましたです。

老母が竹ぼうきで庭を掃き清めている姿を見て、
「あそこのさ、お婆さんさ、竹の箒にまたがって、空を飛んでらっけよ」
の噂が流れるのは時間の問題でありましょう。

内装は、コレからでありまして、さて、どういうクロスに決めるかについては、業者さんとのこれからのやり取りであります。

じっさい無駄な作りでありまして、とても贅沢でありますが、私メの好みを通しましたです。それは、とにかく廊下をふんだんに取り入れること。
回廊というものに惹かれておりまして、
「ふつうは廊下は無駄なので…」
のご提案をねじ伏せ、
「いや廊下です」
押し通しましたです。

ただ、もう一つの贅沢である、
「階段を三か所に」
は、
「わがねでがす」
却下され、業者さんの提案を受け入れた次第。

完成までまだ一か月以上も要するとのことでございました。

家相からは、やはり65点でしょーか。
家作りの難しさを実感いたしましたです。

足場をはずす音がやかましかったので、荒れた庭にでまして草刈りをしていたのでありました。

 

2020
06.24

湖畔をぶらりと散歩しに出かけました。
ここにも群生して花が咲いております。

ちらほらと同じく散策する人影があるばかりで、世界が疫病におののいている現実をよそに、
「遠い現実だね」
ほかの惑星ではないかと錯覚するのでありました。

そういえば鳥インフルエンザがございました。その時は「白鳥に餌を与えないでください」の立て札がいたるところに土手に刺さっておりましたです。

知らない人が、
「おはよーございます」
知らない人の勝手な呼びかけなので、もちろん挨拶はかえしません。山ではないのですから。
ニヤッとするだけであります。

ご覧いただけるでしょーか。
親ガモに見守られながら、生まれたての子ガモが数羽、水辺で生きる訓練をしている姿を。近くには鯉の姿も見えますです。

なんとなく信じられない光景なのであります。

「欲」
と声に出して言ってみましたです。
「イヤだいやだ」
とも。

見てはならぬものを目撃した恥ずかしさを感じたのであります。
「中国人、朝鮮人、アメリカ人…」
そっと呟いてみました。

関東にいて、心の火薬を発火させ、それが当たり前でしたのに、しずかな湖畔では、それらの言葉がまったく感情に上がらないのであります。

みると親子のカモのほど近い、柵の手前には、画像のよーに、二羽のカモが朝寝を決め込んでいるではありませんか。

ウンコだと思いました。
イイのでありましょーか。
拉致される心配はないのか。野良猫に襲われたらどーするつもりだ。この世は欲のまた欲にまみれているのだぞ。

「一級建築士の提案ですが…」
都会のセールスマンの言葉を思い出しました。
「地震保険で一儲けできるんですよ。ただ保険金の40%は建築士の取り分ですが。良い話ですよ」
なんでも建築士に頼むと、ちいさな地震での住宅のガタを見つけ、保険金が下りるんですよ。ここにハンコを、ハンコ、ハンコ、ハンコを」

「て、ことか。本当の地震が来た時にも保険金の40%をバクられるわけだね。詐欺まがいでないか」

もう一度、
「イヤだ、イヤだ」
とため息をつきました。

そして、実家に戻り、終日、草刈りに精を出すのでありました。

2020
06.23

早朝の新幹線でモリオカへ。

車内でソックスを脱いで裸足になるのは、私メの幼少のころからの習性であります。脱いだまま置き忘れて親に叱られたことも何度か。

モリオカ駅から老母の仮住まいのアパートへ行き、そこで、やはりソックスを置き忘れたのでありました。

さわやかな風が南東から北西へ吹きわたり、高めの気温のわりには過ごしやすいのでございました。

別宅で荷をひろげ、PCをセットしたり、着替えをタンスに整理し、建築業者のお方と、室内のクロスをどーするかを打ち合わせたりするうちに、激しい眠気に襲われたのは、郷里だという油断と、いやいや、やはり心地よい風のせいかもしれません。

庭は、雑花に覆われているのでした。
ドクダミとか種々の雑花が、ここぞとばかりに勢力をまし、廃園とみまごうばかり。

「明日から草取りだな…」

大工さんが働いているかげで、腰をかがめて草むしりをすることになりそーでございます。

「たしか大伯母の命日だったな、今日は…」
ふいに、そんなことを思い出すのも郷里という土地のせいでしょうか。

いえいえ、わかっております。
蘭丸には、もう会ってきましたですから。
すこし威張っておりました。

また一週間ほどのモリオカ生活がスタートしたのでありました。