2020
06.06

カメ子の産んだ卵を食べよーとしましたが断念いたしましたです。

すっぽん料理では、カメの卵子の状態をとりだして食わせてくれますので、ゆで卵にすれば大丈夫、食えるだろーと思ったのですが、ダメでありました。

お湯にかけ、いくら茹でても、茹で上がらないのであります。

白身は白身のまま。黄身は黄身のまま、固まらないのでありました。

では目玉焼きにすれば…と試みているうちに、気持ち悪くなってきたのでございます。

罪深いマネをしているよーな気持ちにも。

この気持ちに記憶がございます。

しばらく考えましたが、万年筆のインキをいれるために、インク壺にペン先を浸した瞬間、
「ああ、そーだった」
思い出したのでございます。

モリオカのコンビニで働く、トランスジェンダーの蘭丸くんでございます。

蘭丸くんについては先月のブログで述べている通りですが、地味な顔色の悪いやせ細った女子店員だと見過ごしていた、そのお顔にうっすらと髭の跡が青く残っているのを見て、かつて経験したことのないトキメキを覚えたのでございました。

「男なのか」と。

即座に、蘭丸と名付け、爾後、コンビニに足を向けるときには髪を整え、トワレを振りき、蘭丸くんがレジ立つのをみはからって支払いをしたり、蘭丸くんのいない時の寂寥感は、心に秋風か立つ思いでございました。

けれど、では、蘭丸くんと、お風呂で伸びだしたすね毛を処理したり、お尻に歯型を残したり、両腕をあらわにさせ、腋臭にのこるかすかな女の匂いに陶酔したり、彼に舌を甘噛みしてもらい、唾液を飲み下したり、彼の姫竹のよーに起立したペニスに、自分のペニスを押し付ける、そんな愛の表現ができるかといえば、そこまでは求めていないのでございます。

この世には、想像だけで満足しなければならない事象があるのかもしれませんです。いいえ、想像の領域を乗り越えて、泥靴でのしのしと踏み込んではならない事象とでも申したらいいのか。

カメ子の卵を口に含んだとき、ざわざわと身震いし、おもわず吐き出したわけでありますが、それが私メの限界なのだと知ったのでございます。