2020
06.30

東京へ向かう東北新幹線の中。
モリオカでの予定を終え、うとうと転寝をしておりましたが、
「!」
と何かを発見しましたが、寝ぼけておりまして、それが何であるか、意識にのぼってきませんでした。

周囲を見回して、
「コブラ指だ!」
コレなのでありました。

親指の爪が短く、縦よりも横に広い爪が特徴で、親指がコブラに見える指であります。

相書に曰く「この指の持ち主、まこと慈愛深く一頭の主となるなり」
困った人をみると放っておけず、自分のことを放り出してでも、その困った人を助けると、あります。

が、問題はそのあと。
困った人が幸せになったとたんに、その人を不幸のどん底に突き落としたい衝動に駆られるのが特徴であります。

つまり、不幸な人がイイ気になると残忍な気持ちが鎌首をもたげるのであります。

こういう人に世話になったならば、
「あなた様のおかげでございますです」
と終生、忠誠心を忘れてはなりません。

私メも、コブラ指のお方にはひどい目にあったことがございますです。
もっとも、そのお方はお女性でありましたが。

私メより7才年上の、デパート占いコーナーのオーナーでありました。
彼女と一緒に占いイベントに参加したときは、それはずいぶんと配慮したものであります。

私メの方に占いのお客が行列が長く並んだりしたときは、トイレに席を外したりしたものであります。
彼女に花を持たせないと、
「いい気になっている」
どんな目に合うかわからないことを、それまでの彼女の素行で見知っていたからでございます。

しかし、結局は、占いグループを放り出され、心細い不安な数カ月を送ったのでありました。

新幹線の
コブラ指のお方の窓際には、お弟子さん風の人がおりました。

「アーメン」

やがて来るであろう底意地の悪い残忍さを思い、祈らずにはいられませんでした。

コブラ指のお方は、ボス的な地位を目指すことが向いておりますが、本当の大ボスになるためには、裏切り者に寛大になる心が必要かもしれませんです。

もっとも、このコブラ指はまだ優しい方で、完全なコブラにはなり切れず、繊細さを同時に隠し持っているようではありますが。