2020
08.17

良い形のトカゲを採取し、それを乾燥させましたら、ご覧の通りの、麗しいミイラになっておりました。

尻尾などを傷めずにキレイにミイラにするには経験と根気強さが必要なのであります。
これに金の漆で飾り、モリオカの実家の守り神として、屋根裏部屋の高い梁の上にでも祀ろうかと考えておりますです。

が、ただ祀ればいいというのではないところに、呪術的な難しさがございます。

生きたまま採集し…というか仕掛けを作って、誘い込んで捕獲してのでありますが、そのまま壜のなかで餓死させたわけでありますから、いわば、
「水をくれ!」
状態であることは間違いございません。

それをそのまま梁の上に祀ったところで、吉現象としてあらわれることはあり得ないのであります。

毎日、お水を差し上げてこそ、
「この恩は何にも代えがたい。何なりと願いを叶えて差し上げましょう」
と吉龍に化けるのでございます。

もちろん私メが、絶命させた下手人であることは間違いありません。
しかし、そこまで考えつかないのがトカゲでございます。

日本人だとて、同様であります。
原爆を二発も落とされ10万人以上も殺させたというのに、まいとし八月になると、一億総ざんげをしているではございませぬか。投下国のアメリカに復讐を誓うどころか、尖閣列島の中国の侵略から守ってくれと哀願していることを考えれば、トカゲだって、
「殺されたことよりもお水を与えてくださって、あなたはご主人さまでございます」
ということになるのは火を見るより明らか。

日々の祈りとお水こそが、ミイラのトカゲを、「小蛇化龍」とさせ、強い味方に育て上げることになるのであります。

しかし…、見れば見るほど美しいミイラなのであります。