2020
08.31

おそらく、こーなるだろうと予想していました。
いやいや、かならずや、こーなるだろうと確信しておりましたが、それが現実となったのであります。

せっかくの洗面台に、温泉のタオル。
床には古びた雑巾布。
そしてゴチャゴチャと歯磨き等が並んでいるのであります。

老母なのでした。

洗面室だけではなく、キッチンも、テーブルも。

「やはりか~」
きっと絶対に頭を抱えるだろーと思っておりましたが、頭を抱えました。

「温泉のタオルだけはかけないよーに」
言っていたはずでしたが、かなり耄碌しておりまして、言うだけ無駄なのでありました。

湯舟には、カビの生えたよーな盥が置かれておりますです。
そして脇にはタワシが。
傷だらけのバスルームになるのは時間の問題でありましょう。

キッチンには、使い古しの割りばしが、大事そうーに箸立てに並んでおりますです。

それでなくても整理整頓が全くダメな老母でありまして、その傾向がさらに加速しているのであります。

吉相にし考えに考えたトイレには、むかしは黄色だったよーな古いスリッパが並んでおりますです。

和敬荘しかないよ―であります、もはや。

私メが、東京に行っている間に、どのよーになっているのかと想像したくもございません。

「魚を焼いたら掃除をしねばダメだ」と申しても、魚の油脂で魚焼きはごちゃ。
そーいえば、新品のアパートに置いてきた魚グリルは真っ黒でありました。

和敬荘、和敬荘、和敬荘しかない。

延命のために設置した造作物を、すべて撤去し、戦格に錆びた釘を埋めることを、真剣に考えたりするのでありました。

言えは一週間で台無しになるのでありました。

「家だからいがえんちぇ、気取らねくても。ちいさい、ちいさい」

和敬荘、和敬荘。でなければ報恩寺だ、報恩寺。
なんべんも唱えるのでありました。

助けてくれーい。