2020
11.23

ドーン
と重たい銃声が丹沢の森に響き、尾を引いて渓谷を這い上がる、その音はたまらないと、画像の鹿を仕留めたハンターは語るのでありました。

「さっき仕留めたばかりです」
さすがに湯気はのぼってはおりませんでしたが、真っ赤な血まみれの肉の塊がビニール袋におさめられておりました。

鹿肉のプレゼントなのであります。
「打ち損じて、腰骨に当たりまして」
顎の下の首だと即死なので肉が美味いとか。
仕留めそこなうと、暴れまわって血が乱れ、美味さが下がるのだとか。
「で、ナイフで咽喉にトドメを刺すんだけど、その時……」
ハンターは私メの顔を見ながら、
「悲し気な聲で啼くんですよね」

角の具合から三才鹿ということでした。

鹿肉の他に、先週、解禁になったばかりの群馬の猟場で仕留めたクマの肉もございます。

さーて、調理をしなければなりません。
美味しくです。

鹿はステーキとフライが良いと聞き、さっそく包丁を入れるのでありました。
ざっとこんな感じであります。

本当は牝鹿が肉が柔らかなそうですが、いえいえオス鹿もなかなかの美味。
赤ワインとのハーモニーが絶妙なのであります。ローズマリーの香をたっぷりのオリーブオイルに浸すとググっと味が引き立ちますです。

食いつつ、熊の肉に焼酎をぶっかけ、そのまま味噌仕立てのお汁に。大根や山芋、ニンジンを投入しましたら、熊肉の脂身がトロリと口に中に渦巻くように何かが沁み込んでいくのでございます。

「夜、寝られなくなるかも」
ジビエ料理を楽しむのでございました。

射殺した現場での画像が送られたので、それを眺めながら肉をつつきましたけれど、もはや、
「命とは……」
などの感傷的な気分などには、まったくならず、心が動くのでございました。
「……オレも」

いやいや、と、凝り始めたらどこまでも凝ってしまう自分の習性をかえりみて、また、猟銃などを手にしたら、
「きっとヤバイ」
赤ワインをもう一本開けるのでありました。