01.19
「一生をあきらめました」
などと悲しいことをおっしゃる相談者さんがおりますが、今日は私メも
「一日を捨てた…!」
なのでありました。
雪掻きにつぐ雪掻きで、仕事をしよーとすると指は震え、いきなりの暖房の部屋で頭はクラクラ。
そこで老母をともなって雪道に出たのでありました。
二年ぶりの雪道に、どの車もとろとろ運転。
ときおり横殴りの地吹雪で視界がゼロ。
目くら運転なのであります。下手に止まると後ろから追突されそうですし。
目指したのは、はこべの天婦羅を出してくれる郊外の小店。
画像の緑色のヤツが、それであります。
正直に申しますが、私メは基本的に雪道が大好きなのでございます。
こんな日はスピード違反の一斉も、パトカーもいないので、けっこうなスピードを出すのでございます。
いつもはタイヘンな慎重な運転なのですけれど。
「悪者だからな、オメはんは」
老母にいつも言われるのでございます。
つまり、自分が交通法規無視なことばかりしているので、ほかのドライバーや歩行者を信用できない。彼らもそーだと思って。だから細心の注意を払って必要以上の安全運転をするのだということなのでありましょー。
ロシア音楽に切り替えて、
「おっ、スリップした」
とか、
「ハンドルをとられる」
全身に活気が満ちてくるのでございます。
若いころ、スキー場への悪路で、都会ナンバーの車をあおり、雪壁に突っ込ませた時の快感が思い出されるのであります。「一機、撃墜」などと。
かなり雪掻きの疲労から解放されたのでありました。
まるで疫病の世の中の別バージョンのよーでもございます。
あきらめたお陰で、思いがけない楽しみに目覚めかのよーに。
が、実家で待っていたものは、とっぷりと積もった雪の現実でありました。
掻いた雪を積み上げて、あらたな雪をその積みあがった雪壁の上に積むのですから、まるでシジフォスの神話。
もはや雪掻きを終えることを考えず、お女性と雪でたわむれる夢想と遊びつつ作業を進めるしかないのであります。
凍える指とは反対に汗ばむ背中。そして雪を掬う地面がこすれる音。
すると思いがけないお女性の面影があらわれるのでありました。
「はこべ」
そのお女性に名付けました。
もう手遅れではありますけれど。
「はこべさん…」
雪の中で、呼んでみたりいたしました。
どーせ、あきらめた一日ですから、それでイイのであります。発展とか進歩などから目をそらし、ひたすら楽しいこと、快いことにのめり込めばイイのであります。