2021
03.14

桜が咲くたびに、
「いまは去年なのか」
それとも
「来年なのか」
ヘンな気持ちになるのであります。

スクールを終え、
「中央線は小金井で信号機故障のため不通になっています」
の報せを東海道線の電光掲示板で目にしました。

すると、
数年前の中央線沿線で咲く桜見物にをしたことが思い出されましたです。
私メが40代前半の頃で、編集者の方々と焼肉を頬ばりつつ、神田川を包み込むよーな嘘みたいな満開の桜を眺めておりました。
しかし、彼らはもうおりません。

一人の編集長が左遷させられたと聞きました。翌年に年賀状が届きましたが、住所がありませんでした。
消印もございません。
あったところでどーすることも出来ません。

もう一人は、妻に死なれ、落ちぶれて郷里に帰りました。
「小説を書くのだ」
と原稿用紙を買いこんだのですが、酒浸りの日々であり、肺に穴があく病気になったのです。

さらにもう一人は、自殺しました。

お女性のフリーのライターさんは、
「引っ越すお金も無くなった」
と、私メからお金を借りまして、そのまま音信が途絶えました。

取り合いの占い師も、もはやおりません。
ライターさん系列で、数人のお女性占い師と、毎年、桜が咲くと夜桜飲み会を開いていたのですが、一人が癌になって亡くなったのを汐どきのよーに、みなで会うことはなくなったのです。

そーして、交友関係にないまま、私メはひとりでスクールをしたり、鑑定をしたり、たまに原稿作成しております。

べつに淋しいというのではなく、そして中国人どもが原因した新型肺炎で、どこもかしこも宴会禁止という時世では、かえって孤独に慣れているほうが強味というモノでございましょう。

大船駅ですこし停車いたしました。
線路を挟んだ向かいのホームに、
「あややっ!」
焼肉の会にいた男のライターが歩いておったのであります。
「オノはひどい奴だ」
その男が酔っぱらって言った、その言葉の意味はいまでも解けておりません。
解けておりませんが、心の底を見透かされた気分になったものです。
男ライターは、とても疲れた足取りで、そこに電車が来て姿が見えなくなりました。

幽霊かもしれませんです。

いまは前世なのか、来世なのか。