05.26
自動運転とはいえ、緊張しっぱなしで東北への道を、こんどは新幹線で居眠りしながら南下するのでありました。
この1週間以上、仕事は最小に抑えてモリオカで暮らしておりました。
定年退職老人の生活とはどーいうものか実体験したい気持ちがあったからであります。
結論として、男が腐るのであります。
やったことと言えば、草取り、墓参り、スーパーでの買いだしといったところでありましょーか。
25円のセリを買って嬉しがる自分が哀れに感じるのでありました。
推命的に申せば、身弱印綬大過の現象でございます。
自分のパワーを放出する財的な行動もなく、なにかを作り上げようとする食神傷官もない状態。いたずらに悪い印綬の作用が、妄想を膨らまし、それがイライラとなり、最後に無気力へと固まっていく様を、このたびのモリオカ滞在の間に体験したのでありました。
やがては本物の退職老人の如く、図書館で日がな一日新聞やTVを見て過ごしたり、ホームセンターを用もないのに徘徊したり、暇を持て余し、面白くない古い知り合いと連絡をとり、朝から酒などを浴びる日々へと堕落していくことになるのでありましょー。
断易の卦の出し方も忘れそーになったりするのでありました。
目的がございませんからドライブしたところで楽しくもなんともないのでありました。
指の爪は伸び、刃が甘くなったカミソリで頬の髭を剃り、どことなく口臭も感じられるののでございます。
「腐っていっているなぁ」
く草を毟りながら、ときおり思い出したよーに降る小雨に手を休め、ひさしの下でタバコを吸いながら、手水に落ちる雨粒か゜つくる波紋をながめているばかりであります。
束ねた髪の毛も茫々でありました。
それが東京に近づくにつれ体の隅々まで血が脈打ちだすから不思議であります。
断易の卦まですらすらと瞼の裏にデジタルに浮かんでくるのでありました。
腐った膿が体内から搾り取られるよーな爽快さなのであります。
一つだけモリオカでの成果があるとすれば、
断易の、「神蓍」をあらたに注文できたことでございます。
「いつまでですか?」
「冬の前頃までに」
50箱の注文ですから、期日に余裕をもたせたのでございます。
また木材の仕入れからするということなので、「夏までに」とは強要することができませんでした。
ご希望の方々には、「品切れ」とお断りしていましたから、すこし責任を果たせるよーな気がしています。
ただし前回より、やや値段が上がるかもしれませんです。