2021
07.30
07.30
いままさになぎ倒されんとする画像の樹木は松の木。
中学校の頃に、亡父と、山から車に積んで運んできた、いわば思い出の一本と言えますです。
それが大きくなり、通行するクルマのボディに傷がつくとクレームされ、そのつど枝を落としながら、旧屋敷を守ってきた松なのでありました。
このたび、門と塀を一新するためには、この松が邪魔になったのであります。
「今年限りの命だぞ」
撤去することに決めた春先から松に語りかけておったのでございますが、ついに断松の時が来たのでありました。
松を犠牲として、門塀という目的が現実味を帯びてくるのでございました。
頭の中で、亡父の顔写真が破られるのでありました。
が、それは、むしろ快感でもなくはないのでした。
現在、四柱推命初等科のテキストを改定しているのでございまして、味のある部分をカットしないと、スキッとならないよーな感じでしょーか。
すべては生きているのでございます。生きている以上、滅びるもの。
愛情も同様であります。
夢や希望も同じでございます。
崩れ挫折し崩壊の後でなければ、新しいものは誕生いたしませんです。
おもえば、以前は、屋敷内を栗の木がぐるりとめぐらされ、リンゴ、梨、桃といった果樹が植えられていた時期がございました。
栗の木が倒され、つづいて桜の木、梨の木と、しだいに新しい樹木に変わって来たのでございます。
「よーし、どこかに梅の木を植えよう」
失われた松の木の虚ろな穴を見つめながら、それまで思いもしなかった考えが浮かんでくるのも面白いものでございます。
このお話を、恋愛に置き換えてみると、ひどくホラーであることに気づきましたです。