2021
12.01

エロ雑誌の取材がなければ、もう少し旅行を続けていたかもしれませんです。
土曜日の十傳スクールの講義に間に合えばイイのですから。
場合によっては旅先のホテルから講義ということも…。

ダメだダメだ、資料をもっていかなかったのでございます。

私メの旅行は、ただただボンヤリと景気を眺めては妄想に耽るだけであります。
どんなにマナジリを凝らして見つめていても、思い出すのは一つか二つ。

それよりも、ぼんやりと列車の下の保津川の急流を観光客を乗せた小舟が下っていく様子を眺めたりすると、取材の際に、編集者が用意した、たとえば真木よう子のオッパイの相を説明している際に、ふと、おっぱいが流れの両側の紅葉した山々として忽然と鮮明に思い出されるのでございます。

その地方の男女のファッションを観察するのもまた、旅行の楽しみの一つでございます。

そして、味覚。
関西のコクのある薄味に、塩をぶっかける滅茶苦茶も面白いのでございます。

ラーメンをすすっている男女が、
「こんな美味しいラーメンは生まれてはじめてかも」
御馳走してくれる男に、お女性が賛美の言葉をかけたり致しますが、
「美味いには違いないが、東京では流行らないなぁ」
やはり胡椒を大量にまき散らすことも、その土地土地ならではの体験なのであります。

もちろん、そんなことは言いませんし、そんなことを言って関西の方々を敵に回すほどおバカではございません。

また、愛想の悪い従業員の宿も楽しいのであります。
愛想が悪いのではなく、そういう土地柄なのだと。
店でも、その土地柄は出るものでして、
「たしか、自家製のからすみがありましたよね」
観光のお客が店先にないので、店員に尋ねていました。
「ありません」
これが店員の返事。
さらに客が「去年はたしか…」
が、返事は、「ありません」の一点張り。

聞いていると微笑ましくなるのでございます。

が、すべては過ぎ去ったのであります。
幻のように、すべてがなかったかのように、いつもの机でPCに向かっている私メなのでございました。