2021
12.23

さいきん、食欲がわかないという話を耳にいたします。
食欲だけではなく、気力が減退し、ファッションに対する興味が失せて、以前は、あれほど焦がれていたブランド品を目にしても感動しなくなってしまったと。

生きていたって仕方ないという無気力、無関心。

私メも、どこかそれに近い気持ちが、心の片隅に巣食っているかもしれませんです。
ことにモリオカから戻ると、はげしい疲労に見舞われ、
「もうどーでもいい」
キャリーをぶん投げてしまいたい自暴の念が顔をのぞかせるのであります。

とくに、このたびのモリオカは疲れ果てましたです。

そんな私メを、アワビが待っておりました。

「うほっ!」
ゴロゴロと数個のアワビがビニールの海水に沈んでおりました。

石くれのよーな、アワビを片貝から外すと、人肌色がのぞくのであります。
包丁を研いで、刃をいれますと、身がしまっていくのが掌につたわりました。

空虚な気持ちの時、魚や貝を、このよーに〆ることで、精気が沁みてくるのは、敏感な方々ならば分かるかと思いますです。
「殺すのでしょう?」
いいえ、そんな単純なことではありません。

生きるということは命をむさぼることでございます。
そこには責任感のよーな、うっすらとした罪悪を覚えますです。
その罪悪の向こうから、充実せねばならぬという気力が滴ってきますです。

あとは一杯の清酒があればイイのであります。
そして酔ってしまうです。

「向上しなかった…」
と落ち込むお方がおりますが、現状維持だけでもタイヘンであります。
何もせず、何も食べなければ、死んでしまうのであります。

向上を願うとは、なんと欲深いことか。
しかし、向上する気持ちがなければ、殺した食った生き物に対する申し訳なさが残り、自己嫌悪へとつながりますです。

運気上昇をする基本は、殺した食ったという意識かもしれませんです。