2022
05.09

ドロボー除けの栃ノ木が茂り過ぎたのでありました。
いつぞやは市役所のお方に、
「みなさまの迷惑になるかもしれませんから…」
と伐採を、かるく命じられたのであります。
その時は臍が曲がって、
「みなさまとは誰ですか、名前をここで言ってください」
周囲に聞こえる声で、かるくイジメてやったのであります。

が、たしかに茂り過ぎ。
そこで三本の栃ノ木を計画的に一本ずつ剪定することにし実行いたしましたです。

するとたちまち、スッキリしたばかりでなく、リビングが明るくなったのでありました。

しかし、なぜか清々しくないのであります。爽やかとは言えない、この気持ちはどーしたことなのでありましょーか。
伐り終えた栃ノ木が哀れなのであります。
栃ノ木を犠牲にして、リビングの明るさを得たのでありました。

おもえば、何事もであります。
快適さは、なにかの犠牲が伴いますです。

生き物を食って命をつないでいるのであります。

雑草の名のもとに、草を刈って、畑を耕し、野菜を育て、その野菜のイノチを犠牲にして生きているのであります。

何かを活かすためには、何かを捨てなければなりませんです。
それが当たり前であり、その点に疑問を挟んだり、罪悪感をおぼえるのは、きわめて危険であります。

恋も試験も、たれかの幸せを壊さなければ、手に入らない。
これがこの世の常識でありましょー。

そんな哲学に時間を浪費しておりましたが、ふと周りを見ましたら、切り終えた枝葉が山のよーに…。
海に捨てて来るか~
いえいえ、それはなりませぬ~♪

なら、燃やしてしまうか~
いえいえ、それもなりませぬ~♪

なんだか面倒―臭い世の中になったものだと、ナーバスな午後でありました。