2022
06.27

「ありゃー、やっぱりダメだったか…」
店仕舞をしていたのでありました。

ここは、最後の友達の斎藤の店でございました。
老舗の金物屋を継いだものの、斎藤の代で商売をたたんだのは、40代後半だったよーに記憶しております。
「潰れる前に辞めたのよ。潰れたら土地まで取られるからな」
淡々と語っていた彼を思い出します。
「もは、鍋釜を売る時代じゃねしな」

しかし、代々続いた店を閉めることはかなりのプレッシャーであることは、その後、彼が付き合う人間のほとんどは、自分と同じ、親からの商売をたたんだ奴らばかりだったことで感じられますです。
その場に私メが居合わせると、
「オメはいいよ。チャチャと原稿を書いて百万円はもらえるんだべ」
すこしヒガむのでありました。
そんなことはないと反論できない殺風景な雰囲気でありました。

四柱推命の講義で語っておりますが、落ちぶれには、ちゃんと順番がございます。
最初は絶望。やけくそ、そして諦め。やがて自己憐憫。
この段階ならば、まだ再起は可能なのであります。
それが妬みへと進み、ソネミ、ヒガミという穴に落ちていきまます。
最終的にプライドも失い無明に堕ちてしまうのであります。
こうなると手もつけられません。

プライドを失う手前。
そういう時に「希望」という愚かな夢を見るのであります。

投資話であります。
この世のあらゆる不幸が詰っているというパンドラの箱から最後に出てきたものが「希望」
なけなしのお金を、友達の投資話につぎ込んだのであります。
結果は言うまでもございません。

そして、60歳になった時、最後の「希望」が降臨したのであります。
すい臓癌という「希望」。
ここで、彼は自分の生命保険によって、つまり命と引き換えに、店を再建してくれるように、息子に頼んだのでありました。
半年後、延命処置を断り、真っ黒になって、彼は死にました。
そーならないために四柱推命はあるのですが…。

二年後に店は復活いたしました。

が、いまは画像の通りであります。

店が栄えていた当時の頃を私メは知っております。
インド美人のよーな母親と、活発な弟たち。店の前は花と音楽でいっぱいでありました。

私メは、斎藤に対して鑑定したことはございません。助言もいたしませんでした。
こーなることはおぼろげながら見えてはいたのです。
はらはらしながら眺めていただけでございます。

2022
06.26

複数の法事をこなし、心身ともに限界でしたが、
「どれお珈琲でも…」
と喫茶ルームで平和にひとときを過ごしたのでありました。

モリオカはお珈琲の似合わない街だと決めつけておりました。
しぜんと緑茶を喫する機会が多いのでございます。

が、いつの間にか美味しい珈琲屋も増えておることに、すこし驚きました。
ちなみに、この喫茶ルームは、蘭丸さまの働いている中華食堂の目と鼻の先にございますことを、いちおうご報告いたしますです。

疲労困憊なのに、なんとなく興奮してしまい、自撮りをいたしましたら、こんな顔に。

関東に帰りましたら、また関東の顔で仕事をするのでありましょーか、
そろそろ「新版奇門遁甲初等科YouTube版」の詳細を、仮申し込みの皆様にお知らせしなければならない時期となっていて、すくなからす焦っておるのであります。

いちおう、新版奇門遁甲初等科YouTube版のお申し込みは、7月15日で締め切らせていただくのであります。

本日は、ヘトヘトでありますから、この辺で。

2022
06.25

鮭のアタマ。
これを探しておりました。
しかし、タイのお頭などは目にしても、鮭のカマはあったとしても、アタマの部分は偶然にしか手に入りませんです。
そして、無いとなると、よけいに欲しくなるものでして、
「これは丸一尾、買うしかないか…」
そう心に決めつつも、スーパーやら、魚屋を、しらみつぶしにチェックしていたのでありました。

最終的には、いつもの如く、断易に従い、
「世空者即致」
に、自分を落とし、「どーせ、この店にもないさ」と、欲しいというパワーを弱めたのであります。
是か非でも「欲しい」と心がはやるうちは、なぜか手に入らないこの世の原則があるものでして、すべては「諦めた頃」に天から舞い降りるよーに見つかるものなのであります。
この原則を「世空者即致」として理論に取り込んでいるから、断易はスゴイのであります。

で、
「ありました、鮭のアタマが四尾ぶんも。150円で!」

さて、私メは鮭のアタマのみを述べたいのではございません。

鮭のアタマを手に入れ、気づいたら空腹でありました。
たまたま鄙びた中華食堂を目にしたので、そこでラーメンでも…と。
ガラガラ戸を引きましたら、店内は意外と混んでおりまして、客さまたちが、こちらを振り向きましてございます。
「?」
さまざまな視線に、こめかみに痛いくらいの視線が混ざっておりました。たしかに身に覚えのある視線でありました。ほろ苦い視線。

なによう、とでもいうよーな視線。
「!」
心臓が真っ赤に肥大いたしました。

蘭丸…。
たしかに、そこにジェンダーの蘭丸さまの温度を感じたのでありました。
おそるおそる見回しましたが、マボロシだったよーでありました。

そして、ラーメンをすすりおえ、お代を支払い、外に出て、ガラス戸をしめました。
その時、油で汚れたガラスの奥から、蘭丸さまのお顔が。
店員だったのでありました。
胸の奥で、音楽が流れました。途切れていた音楽が。

まさに世空者即致でございますです。