2022
06.05

バカに安い肉を店頭でみかけました。
が、誰も手をつけません。それほど不気味なまでに安いのでした。

ためしに買ってみました。
以外にも美味でありました。

恥ずかしい話ですが、私メがはじめてステーキを食ったのは18歳でありました。
試験の帰り、待ち合わせた叔父に三笠会館に連れて行ってもらい、そこではじめてビーフステーキなるものを食したのでありました。
あまりの美味さにチビりそうでした。

それまでは、父が、「ビフテキを食い飽きた奴らが食うものだ」と、ホルモンを料理したのでありました。が、そのビフテキを食ったことがないので、返事のしようがございません。
いやいやビーフステーキとビフテキは別のものだと思っていたくらいであります。

もっぱら食っていたのは、豚肉ポークの焼いたヤツ。
ある日、夕食の食卓で、父は、丸い皿にのったポークの隣に、茶碗を逆様にして、ご飯を盛ると、そのご飯の山をナイフでフォークの背に乗せると、
「これからは海外だ。外国で活躍する時代だ。お前たちも洋食をしらないとダメだ」
私メと妹は、父の手元を見習いながら、フォークの背にご飯を乗せるのですが、上手くいきません。
「慣れれば大丈夫だ」
その父も、もどかしいよーでした。最後はフォークの腹ですくって食っていましたから。
畳の部屋で静座して、私メと妹は悪戦苦闘したのでございます。

母はと言えば、
「外人の真似してもわがねんだ。日本の良さを知らねば」
と箸で静かにご飯を食べているのでありました。

あれから60年も経つのでありました。

ネット社会へと大変貌したわりには、人間の行動にはあまり変化がないよーな気がいたします。
いちばん発達して良かったとおもうのは、ウォシュレット。
これのない国にはもはや行けませんです。

安い肉を美味しく食べたのはイイのですが、そのあとムカムカに襲われましたです。
ニンニクを使いすぎたよーであります。

ニンニクもまた、私メは18歳になるまで、その存在を知りませんでした。
ニンという肉だと思っておりました。餃子を食ったのも18歳。
母は大のニンニク嫌いでしたから。いまも。