2022
06.12

夜更けの雨に耳を澄ましておるのでありました。

齢をとるというのは惨いことであります。
良いことなど何一つございません。

お女性が40歳前後になりますと、
「オバさんになった」
と答えに窮することを言い始めますですが、40歳ならまだまだであります。

この齢になりますと、鏡を見ては、
「醜い…」
薄汚れて感じられるのであります。
愛することも愛されることもございません。
愛を語ることすら、気持ち悪く「ギヤッ!」なのであります。

60代は隠居。
何を言われても傷つくことは許されず、近づいてくるお女性はすべて、
「なにが目当てなのか」
当然のことを、あらためて反芻するのであります。
バカバカしくて生きていられません。

ただ、どーやって自殺したらいいのか。
汚らしい死体はイヤだし、だいいち死体を誰にも触れさせたくない。

そーいえば、まだ、フーゾクとソープランドに行ったことがございませんから、ポケットにお金を押し込んで、近々に向かわねば、タイムアウトになるやもしれません。
それと、まだやったことがないのは、チカンとレイプ。それとホモ。が、これらの趣味はありませんからしなくても大丈夫。

そーです。ソープランドです。
見知らぬお女性とすっ裸になるのでしょーか。そしてヌルヌルとかするのでしょーか。
ゆたかな脂肪を掴みながら歓喜の声を、かすれた声を上げたいのであります。
「いっぱい出したね、大丈夫?」
息切れと心臓がバクバクした私メを指さしながら笑われながら心配とかされるのでしょーか。
そして、お金を渡して帰る。
通りを駅まで、昂奮の余韻として耳まで赤く火照らせて。ズボンからシャツをはみ出させて。

これ以上のしやわせはございませんでしょう。
いままでお女性に使っていた気づかいや時間や労力は、もはや誰からも評価されない老僕なのだと、つくづく思い知らされるはず。
いいえ、思いやりとかそういうモノを求めていけないのが老人なのだ。見返りを求める資格がないのです。

よーし、死ぬぞ!