2022
06.23

人里離れた墓地に行きました。
都会の墓地とはちがい、管理もされていない墓地があるのであります。
この墓は、他人の墓ですが、建立したとうじは、たいそう立派な墓だったのでしょー。
が、いまは無残。

こういう墓をみますと、現在の子孫の生活が、いかなるものかが見えてきます。
墓相額に曰く、
「先代より大きな墓石は凶。ちいさな墓にすべし」
こじんまりとした清楚な墓にすることで、先代から憎まれず、成仏できるというらしいのですが、ホントかどーかは分かりません。

ただ、経験則から言えることは、墓云々よりも、こまめに墓参りをすることが吉に通じるということであります。
では……と何回か行って、「さっぱりイイことが起きません」と功徳を目的にしてもダメでありましょー。

また墓参りを、いったん止めますと、目的の墓がどこにあるのか分からなくなることも多いのであります。
見つけたとしても、
「こんな見すぼらしい墓だったかな?」
浦島太郎になった気分。

しっとりとした気持ちで、故人が昨日まで生きていたたかのように偲ばれるのが最適でございます。

中学の時、夏休みに、四代前に住職をしていた山寺の墓地に、友達の斎藤と一晩中、居続けたことがございます。
目的は、昆虫採集ならぬ「人魂採集」にであります。
ウソつきの叔母たちに、あそこは必ず出る! と脅されておりましたし。
「人魂を捕まえたら前代未聞だべじゃ」
で意見が一致したのであります。
昆虫網を腰に差して、汗を拭きつつ暗がりの中を、人魂探しをしたのであります。

結論からいえば、人魂はおらず、ただやぶ蚊に百か所以上も刺されたこと。
が、面白いことがございました。
墓地のどこからか、しくしく泣くお女性の声を耳にしたからです。
「!」
と二人で、身をひそめて墓地をうかがっておりましたら、中年らしきお女性が墓にすがって泣いているのが夜目にみえてきました。
幽霊かも…ゾクッといたしました。
勇気を出して、どーしました、と声をかけてみたのです。

「ギャッ!」
と、お女性は腰を抜かした格好で、すっとんで行きました。
懐中電灯で照らしたら、その墓の前に食いかけの団子が残されておりました。

モリオカに戻りますと、墓参りをしないと、どことなく落ち着かないのであります。