2022
09.01

地元でも知られない温泉が岩手県にはいくつかございました。

ここも、その一つ。
いまは跡形もなく滅びております。
冬の間は、通行止めになり、その10キロ先に、建物があり、春になってはじめて、その建物の存在が確認できるのでございます。
「雪で、はぁ、その重さに耐えきれず、ペシャッンコになるおんす」
管理人が語っておりました。

ですから、雪の多い冬は、とても心配していたのであります。
ですから、建物が存在している年には、できるだけ足をはこんでおりました。

しかし、年間の宿泊数は、平均30名。多くても50名には届かないとかでありました。

人の死に対しては無感動ですが、こういう温泉が失われることには、とても心が痛むのであります。
かといって繁盛しても複雑でございます。

入り口には、カモシカの頭蓋が飾られ、そのカモシカは、
「真っ白れ、カモシカで、ある年の春に山で死んでいたおん」
とのこと。

人々は、清潔で食事の美味しい設備の整った温泉を温泉だと思うみたいですが、こんな温泉地が、まだいくつか岩手県に残っておるのであります。

いや、全国にも、探せばけっこう現存しているのでありましょー。
八幡平の展望台から脇の道をくだれば、混浴もございまして、パーキングからも裸体の男女が望まれたことは、数年前にご紹介したよーな。

しかし、私メ自身は、この画像の温泉地が大好きでありました。
気に入った数人しか
「いい温泉だぞ」
と教えてはおりませんでした。

もうございません。
死んでも行くことは出来ないのであります。

戦地で祖国から脱出した方々は、このあと郷里にもどったとして、その喪失感をいかに埋めるのでありましょー。

ウクライナにだって犯罪者がいたはずで、
「刑務所の囚人たちはどーしているのか」

懐かしい失われた温泉地の画像を眺めつつ、そんなことを思うのでありました。