2022
11.28

モリオカに滞在していますと、特に過去の事ばかりが頭に浮かぶのであります。
東京にいたとしても、同じでしょーが、とくにモリオカはそーなのであります。

この建物の一階に存在していた飲み屋に、役10年間通いましたです。
しかし、それほど過去の事ではなく、つい20年前から10年間。
実家で、夜の定刻になると、体がムズムズして、
「出かけてくる」
「どこさ行くえん?」
の老母の声に、「どこでもイイ」と言い捨て、水に飢えた動物のように町に向かうのでした。
そしてグテングテンになるまで泥酔し、2時ころまでカウンターに根をはやすのでありました。
マミーを誘い、別の店に繰り出すこともしばしば。

マミーの口の悪さが災いし、客足が途絶え、ついに廃業。
「ハゲちゃん」とか「うぁー、短足が見えました」とか。
東京から移住した順子というお女性に対しては、気取るな!という意味を込めてか、「ズン子」とあだ名したり、デカいお女性には「ジャンボ」
これでは客が居つくはずがありません。

しかし、常連がおりました。
ひと癖もあるお女性たちであります。
軽い恋愛戯れもいたしましたです。たのしい偽の恋でございます。

しかし、私メにとっては貴重な店でありました。

無くなってから、どの店に行っても「ここではない」感が強く、ついには夜の町に足を向けないよーになりました。

ふと、性欲の退化した、奇妙な動悸に襲われます。寂しさと呼ぶには、もう少し生臭い胸苦しさでございます。
電話する気もないのに、そこの常連客のダイヤルを探してみたりするのでありました。
「会ったところで」
なのでございます。死んでいるかもしれないし、病気かも。
いやいや、すでにお女性ではなく、人間に進化しているに違いないのてあります。
「人間に用はない」

波止場となるような店を求めつつ、過ぎ去った声ばかりに耳を澄ますのでありました。