2023
03.18

十傳スクールの断易高等科最終回の日に、東京は朝から雨で日の射さない冬日でした。
おそらく、これが冬の最後になるのだと、講義をしながら、窓外の雨のしずくに目を注ぐのでした。

断易は難解といわれる占いであります。
じっくりと取り掛かる覚悟を要しますから、日本人には不似合いかもしれません。一回が5時間で、初等科は18か月。中等科、高等科が12回ずつ。
この講義を最後まで続けられた受講者の根性には頭が下がるのであります。

とくに私メの断易は、人の心にまで分け入る綿密さを求めるものでございます。
吉凶が分かれば、それでイイという程度では許しません。当たるも八卦、当たらぬも八卦などという誤魔かしも許しません。出た卦にかならず語られているリアルを読み解くことを求めるのであります。
手軽なインスタントに慣れた日本人には苦痛でしかない占いが、断易でございます。

それも本日で一区切りなのであります。
冬が、今日を最後に去っていく冷たい雨。
男女の別れを直感する時にも、同じような雨が、二人の間に降るのであります。
熱い濃密な空気を無常に冷却する雨。
まだまだ言いたいことがあるのに、もはや語るべきものがない。

受講生の皆様と講師の関係も似たものかもしれません。
カラン、カランと時を告げる鐘が鳴るのであります。
「もう仕舞ですよ~、もう終わりですよ~」

リモートの画面を消したとたん、事務所の空気は冷え、部屋の明かりさえ霧の中に沈んだみたい。

断易という魅力ある占いを伝え続けるのが私メの使命なのであります。
初等科はYouTubeですが、中等科以降はリモートではあってもリアル講義。このスタイルを守ること致します。