2011
04.09

 ただでさえ地味なのに、姫しゃらの花が雨のなかで咲いておりました。

庭木なので目にとまりましたけれど、これが雑木林なら、たぶん誰の目にもとまらずに密やかに咲いてしぼんでしまったことでしょう。

鳥ならば雨の日はどこかで羽根を休めています。気の早いカラスなんかは、いよいよ雨が上がる頃になると電線のあたりを飛び交いますが、花は雨が降ろうと咲くのでありますね。

私は入院していたクラスメイトのことを考えていました。
ずっとむかしのことです。
ひんぱんにお見舞いにいっていたのに、ふっつりと行かなくなってそのままにしていました。

それがもっとずっとたって二〇代になってから、全然関係ないことですが、捨ててしまっていたような子から連絡があったことがあり、そのとき、反射的に入院していた子を思い出したことを思い出しました。

いま雨のなかで咲いている姫シャラをながめて、ふたたび頭をよぎったんです。

けれど、鮮やかに咲く椿の花を見てしまっては、記憶のなかでも、その白いほそい病弱の腕をした子よりも、華やかでおっぱいの豊かな、顔のない女の子に惹かれるのでありました。

モリオカの中央病院はいぜんは上の橋のたもとに建っていまして、白い腕の子の入院していた三階の病室が、その橋のところから見えたものでありました。

現在の中央病院はそこから移転しましたが、その病院を、生きて退院した知り合いは、いまのところ一人もおりません。
私は死神病院と名付けておるのであります。

  1. 私も今日は家の中で雨滴るスノーポールを見ながら篭っていました。
    フクシマの放射線範囲内の家に戻られる方は避難所生活が苦痛で家が一番いいとおっしゃっていますね。
    そもそも静かにマイペースに暮らしたい方の地域だと思います。
    私も命が助かっても数ヶ月間、100人単位の避難所生活と考えると円形脱毛症になりそうです。
    例外に肉牛や乳牛は開放され、新たなロマンスが生まれそうな。
    飼い犬も開放されると群れを作るのですね。雑種や日本犬はグループに入るのが上手ですが、レトリバー系の舶
    来犬は人間の飼い主さんが好きなのですね。
    この震災で自然の在り処を少し学びました。

    ●十傳より→売れない芸能人が、ボランティアの名を借りて、やたらと活動を開始していますですね。そしてサッカーのカズのセンスのないおファッション。山口組の会長の前ではしなびますです。

  2. 風角のコラム読みました!理想論かもと仰られましたが最高だと思います。感動しました*

    ●十傳より→読み返しました。なかなかいいことを書いてましたね、私も、なのでブログにUPしてみますです。