11.30
古都から山をいくつか越えたところに足をのばすと、小さな町が車窓に見えては過ぎていくのでございました。
「こんなところに、よう住まはるなぁ」
乗客のだれかのしわぶいた声が耳をかすめました。
私メも、ちょうど似たことを考えていましたので、ちらりと後ろをふりかえりました。
そのとき、大きく揺れて列車が急停止しました。
ガタン。
しばらくして、関西弁のアナウンスがあり、「いま非常停止ボタンが押されました」
列車は、けっこう長い間、のどかな田舎町を見下ろす地点で、昼寝でもしているように動かないのでございました。
もしも、この町に滞在し、お女性とロマンスに堕ちたら大変なことになるだろうなぁ、などとぼんやりと空想に耽ったりするのでございました。
恋の噂は、翌日には町全体にひろがり、そのお女性が奥さんだったりしたら、スーパーに買い物にも行けなくなるだろーと。
「逃げよう、ぼくと」
落ち合って、この列車で都会へと姿をくらましたら…。
と、ふたたびアナウンスがあり、非常ボタンは、トイレの中からだというのでした。
どーやら、乗客がトイレから出られなくなったらしいのであります。
そーいえば…と思い出すと同時に、うしろの誰かが、「あてらのような、かよわい力ではどーにもなりまへんのや」としわぶくのでございます。
そーです。トイレのドアはボタンでの開閉式なのですが、内側のボタンが取っ手に隠れて、容易に見えないのであります。
たしかに力で無理に開けようとしてもうんともすんともしないことは、さきほど私メも焦ったことでございました。
若い運転手助手がいくどかトイレ付近を行き来する気配がありました。
「逃げよう」
しかし、奥さんは、幼い子供に「行かんといて!」と泣きつかれるかもしれません。
実親と同居していれば、「親やろう、親やろう!」と、きっと止められてしまうでありましょう。
列車は20分も停車していたでしょーか。
何事もなく、初冬の町を振り払うよーに動き出したのでございました。
小さな町に暮らすことも苦労が多いだろう、と空想に過ぎない教訓を現実のこととして、妙に納得してしまうのも、旅行の楽しみのひとつといえば一つなのでございます。
小野十傳先生・世の中イロイロ在りますが、御無事で何よりです!
●十傳より→いろいろと楽しいことがございます。それが楽しいことだと気づかないだけであります。
瀬戸内尼の小説のワンシーンのような妄想ですね。
現実に起きそうな妄想が一番ドキドキします。
●十傳より→瀬戸内晴美は死んでもらいたい人間の一人でした。はやく徹子にも死んでもらいたいですね。
先生のことですから、田舎のサル人間どもにブチ切れて八つ墓村になってしまうんじゃ?
●十傳より→二重人格ですから大丈夫かも。最初だけは。
小野十傳先生・お待たせしました。
奇門遁甲カレンダーと有料スペシャル版しやわせカードの代金を現金書留にて、34,000円先ほど速達にて郵便局より発送しましたので、宜しく願います!!
●十傳より→分かりましたです。
しまった忘れてました!
来年度上半期の奇門遁甲カレンダーの在庫はまだございますか?
●十傳より→ございますですよ。まだまだ大丈夫であります。
先日、光の書を買い求め、
不幸を浄化するまじないを始めました。
和ろうそくに火を灯している間、
何もしなくていいのでしょうか?
溶けるろうそくとともに自分の不幸も
消えていくようなイメージングをするとか…
●十傳より→何もしない方がイイのであります。