08.26
自然にガラス戸を開け、カウンターの椅子に座ることのできた自分が以外でありました。
けっして、このラーメン屋のなかに、いや店先を通る勇気すらないと思っておりましたから。
油脂で汚れた店内にはいろいろなメニューが貼られておりました。
こんな風景を、毎日、眺めているのだろうか、あまり似合わないよーな気がするなぁ、蘭丸さまには…なんて思いました。
冷風麺を注文し、前を向き、横をちらりと、逆の横をちらりと。汗をぬぐう素振りで後ろも。しかし蘭丸さまは見えませんでした。
お客の出入りは多く、その人影にたすけられて、店内を見渡せましたが、おりません。
辞めてしまったのでしょーか。
それとも、アレは…二ケ月前にこの店を出ぎわに、ガラスの中から刺すよーな視線を送ってきたのは別の人で、蘭丸さまではなかったのかもしれないと、冷風麺をすすりましたです。
いや、いる。
こめかみにチリチリと、そうジェンダーの蘭丸さまがコンビニに勤めているときに感じた、チリチリとした視線がこめかみに感じられたのでした。
どこだ。
「あっ!」
レジの向こうに。
なによぅ、と挑むような目つきで私メを不機嫌そーに。一直線に視線が結ばれました。
気がつくと、店前の小路から表に出て電柱にもたれておりましたです。
ら・ん・ま・る・ぅ。
私メは、レジでお金を支払うあいだ、うつむいて、蘭丸さまのお顔を見ることが出来ませんでした。
ささくれた指先、その手は男っぽく節太でした。だのに腕首は細く、そこにムダ毛が散らばっておりました。
半袖のクリーム色の店員着の袖から白いTシャツの袖が覗いておりました。
ああ、その腕の先にある腋の下の肉を音を出して吸ったらどんなに…。
そのとき、妙な違和感をおぼえたのでした。
同じ人なのに別人を見ているよーな。双子の姉を妹だと錯覚して喋っている途中で、間違いだったと気づく、あの違和感。
「あっ!」
こんどは声に出ておりました。
胸がはっていたことに気づいたのです。
うすっぺらな胸だったはずです。そうなのだ。コンビニにいたときは、制服が緩くて鎖骨の奥まで覗けていた。
たったいま目にした胸はボタンがはちきれるほどふくよかでした。
「やったな…」
豊胸という二文字がひらめきましたです。
姿をくらましていた数か月間に、蘭丸さまは女へと向かったのでしょー。
ハートがかきむしられる思いでございます。
「欲しい…、どーしても欲しい」
豊胸手術によってつくられた、その乳房をわしづかみにして、ツクシのよーに勃起したペニスを、亀頭を、ざらついた舌で味わいたい。
店に駆け戻り、額で入り口のガラス戸を叩き割り、蘭丸さまにむしゅぶりつきたい炎のよーな衝動でございました。
しかし、私メは電信柱にもたれながらコレラ患者のよーに汗を滴らせるばかりでございました。
豊胸手術のためにバイトを頑張ってたのかな?
蘭丸さまの性転換は本気ですね、先生の恋心も同じくらい本気ですね!
相手の顔を正視できないなんて…
そんなド本気の恋…
一生巡り合えない人もたくさんいますよ?
小野先生ガンバっ!!!
●十傳より→タマも取っていないことを、お祈りするばかりであります。
冷風麺とは、冷やし中華のことですか?
初めて聞いた名前です。
●十傳より→ほとんど似ておりますです。
♪私カパよねぇ~おカバさんよねぇ~後ろ指~うしろゆび~さされ~ても~貴女1人に命を掛けて~(とは言いつつも先生の
場合お女性の存在もあるので欲張りジャン)勿論、蘭丸ちゃんは別格ですね。
先生の妄想を花に例えると、葛の花に
似ていますね。聖書のアダムが隠した葉の
形にもハッパが似ていますし、、、。
両性具有はギリシャ神話では軍神である火星、私のホロスコープ上では天秤座が火星で妄想すると せんせいと重なる~よ~な
それにしても せんせいは まるで
『かげねこ』の様でありますね。
ウミウシも両性具有ですね。
●十傳より→ゾクリとするので仕方ないのであります。
きっと妊娠
だって、ややこができると
乳ふくらみますもん
●十傳より→でも戸籍上は男ですよ、たぶん。
えっ?カレー屋さんなのににラーメンも出すんですか?
●十傳より→この近所と言うことでございます。